会長 川田一光

 3年間続いたコロナ感染症もようやく落ち着き、各種経済指標もコロナ前の水準に回復しているものの、当業界としては、課題山積の大変厳しい状況が続く中、新年を迎えて、気を緩めることなく業務に取り組んでいきたいと思っております。
 課題の第1は、目前に迫りました2024年問題(物流問題)です。当協会としては、荷待ち問題を抱える会員を中心に物流部会を設置してこの問題に対応してきており、昨年末に作成した自主行動計画でも荷待ち・荷役作業時間の削減等に向けて可能な限りの取組みを行うこととしておりますが、今後の物流コストの増嵩が見込まれる中で、特定の分野に負荷を寄せるのではなく、サプライチェーン全体の最適化を考えた変革が不可欠と考えております。 
 課題の第2は、一昨年来の生産資材価格等の高騰に伴う産地からの強い価格要請への対応、この問題に関連して、今般の基本法の見直しの中で政府・与党が検討されている「適正な価格形成」の課題です。当業界としては、日頃から可能な限り産地のご要請に応じた価格形成に務めておりますが、申すまでもなく、卸売市場の価格は需給を基本に形成されますので、価格形成と併せ、持続的な食料システムを構築するための産地への政策支援を検討していただくようお願いしたいと思っております。
 また、今般の基本法の見直し作業の中でも、少子高齢化による国内市場の縮小が強調されておりますが、青果物需給・流通の現状を見ますと、需要の縮小以上に生産の脆弱化を懸念しております。こうした産地を販売面から支えられるのは、国産青果物の約8割を取扱う卸売市場以外にないと確信しています。集荷・分荷、価格形成、代金決済、情報受発信という卸売市場固有の機能をしっかり発揮することにより、産地を支援してまいる所存です。
 いずれにしましても、大きな時代の流れを見据え、輸出やデジタル化、物流問題への対応も含め、新しいビジネスと市場機能の強化に向け、市場のメインプレイヤーとして、戦略的に取り組んでいきたいと思っておりますので、関係の皆様のご指導・ご鞭撻を賜りますよう切にお願い申し上げます。
 

令和6年年頭所感より抜粋